後編、<上槽>槽搾り
文本酒造さんでは全量手作業による槽搾りになります。白色の綿袋に酒を7~8Lいれて、200~300袋、作ります。これを槽に敷き詰めて1㎡に150kgの力をくわえて搾ります。今度は袋を積み替えて搾ります、大変な作業です。しかし、この工程が酒に優しく文本酒造の売りでもあります。続けて頂きたいです。
荒ばしり・・・最初にしぼったお酒・・・若々しく、微炭酸でスッキリしたお酒
中取り・・・・味と香りの乗ったバランスのいいお酒
せめ・・・・・搾りの最終段階で雑味を含んだ荒さを感じさせる日本酒
<瓶詰め>
搾った酒はろ過器通して1.8L瓶に機械で詰められます。無濾過はろ過器を通さない。
<瓶燗火入れ>生酒はしない
浴槽に水を張り、徐々に63度の温度のお湯にして15分程、熱をいれます。その後すぐに冷たい水に浸けてさまし、冷蔵庫に瓶で保管します。この方法は手間がかかりますが酒が空気と触れることなく香りを損なわない。熱に弱い酒を短時間の熱入れで管理できる。雑菌を死滅させ酵素の働きを止めれることで酒の品質を維持できるそうです。
<楽しみの試飲>
桃太郎純米大吟醸 生ラベルなし、左端
霧の里 生原酒 生ラベルなし、左から2番目
霧の里 本醸造
桃太郎純米吟醸
大吟醸 干城の酒
桃太郎特別純米
桃太郎純米大吟醸
文本酒造さんで一番、売れているのが桃太郎純米大吟醸です。これは文句なしに美味い。いちごや青りんごを思わせる爽快なフルーツのような透明感のある味わい。適度な辛さと後味にほのかな苦味がいい。時間が経過するに連れて優しい甘みがでてくる。高知県酵母CEL-66・窪川産吟の夢・杜氏生産米の組み合わせと、この窪川の台地による風土がなせる技のようである。霧の里の切れ味の良さと干城の酒の芳醇な香りと味わいもたまりません。生酒の味わいはもう一段階、味わい深くなるようです。
文本酒造さんの商品単価はとてもリーズナブル、純米大吟醸720mlで税込1,650円なんです。是非お試し下さい。
お問合せはこちらへお願いいたします。http://ino-daikokuya.co.jp/news/?page_id=28
この窪川の地形が文本酒造さんの酒質を決めていたようです。この台地は広く窪川地区だけで端から端まで車でゆうに30分は走らなければならないぐらい広く、平たんでなだらか、そこを四万十川がゆっくり大正・江川崎・中村方面にながれています。人が住むのに適しているのです。そして農業、米を作るのに適している、だから人は穏やかに生活するのを好む。必然と酒の好みも穏やかで優しい味を好みます。こういう理由で、近くの酒蔵さんとの味わいが全く違うようです。
文本酒造さんは県下18蔵の中で生産量が一番少ないと言っておられました。見学のとおり丁寧な手作業の範囲が多いため、量を追わえるのは無理があると思います。杜氏が言っていたように地の利、県下一番の美味い米を生み出せるこの地の米と最後の清流四万十川の水、蔵元の情熱で地域独特の特上品質酒を育てて下さい。小笠原杜氏さんは、蔵で使う米は全量地元の米で尚且、蔵自体で全生産をここ数年で伸ばし、実現させると言っておられました。
伸びしろの幅が広い文本酒造さんです。丁寧な手作りの優しい造りで、品質の高い日本酒と真摯に向き合って製造しているのが大変良く伝わってきました。
やはり、現地に赴かなければ分からない事があります。受け入れてくれて、ありがとうございます。皆さん、体調に気を付けて、この造りの季節を乗り切って下さい。